今までの記事にて、「資金管理手法によってFXの利益効果を上げることができるのではないか?」という仮説が立てられる可能性について言及しました。
今後の記事では、以下について検証を進めてみたいと思います。
@主にギャンブルで用いられる資金管理手法の適用領域についての概説
Aこれらの手法をFX取引に活かすにはどうすればよいか?
今日の記事は、まずは前提条件となる@について、説明をしてみたいと思います。
カジノなどで用いられる資金管理手法には、主に以下の様なものがあります。
・バーネット法(1326法)
・グッドマン法(1235法)
・マーチンゲール法
・逆マーチンゲール法(バーレー法)
・ダランベール法(ピラミッド法)
・31システム
他にも細かなものは色々とありますが、これらの資金管理手法の肝は「運の流れを意識して、勝ちを大きく伸ばす」ということです。
上記の中でマーチンゲール以外は、基本的に大連勝した時の利得が大きくなるようになっているのです。
マーチンゲールだけは少し特殊で、勝ちを大きく伸ばすというよりは、負けをなくすための資金管理手法となっています。
ここで、それぞれの資金管理手法について簡単に説明していきます。
<バーネット法(1326法)>
連勝数に応じて、掛け額を1→3→2→6と変えていく手法です。
負け、または4連勝すると掛け額を1に戻してやり直しです。
この手法の特徴として、偶数連勝すると非常に効率よく資金が増えていくという点が挙げられます。
特に4連勝した場合の利益効率が非常に高いという特徴がありますが、逆に4連勝以上出来ない環境だとジリ貧になってしまうという弱点もあります。
<グッドマン法(1235法)>
連勝数に応じて、掛け額を1→2→3→5→5→5→・・・と変えていく手法です。
負けると掛け額を1に戻しますが、勝ち続ける限り掛け額は5固定となります(まあ、戻しても良いですが)。
この手法についても、連勝を重ねれば重ねるほど効率のよいという点がメリットです。
また、2連勝以上できれば以降負けても勝ち分は確保できるため、比較的バランスの良い資金管理手法なのかなと思います。
<マーチンゲール法>
この手法では、勝っている限りは掛け額は1になります。
負けるごとに掛け額を2→4→8→16→・・・と倍にしていき、勝った時点で掛け額を1に戻すという方法です。
この手法の最大のメリットは、「いくら負けてもたった1勝で取り返せる」という点です。
これがかなり魅力的な響きのため手法として取り入れる人が多いのですが、それだけ大きなメリットなので、もちろん大きな弱点もあります。連敗時における掛け額の膨らみ方が級数的に増えていくため、意外と早く破綻が来ます。非常に危険な資金管理手法といえると思います。
<逆マーチンゲール法(バーレー法)>
この手法は、字のごとくマーチンゲールの逆手法になります。
勝つごとに掛け額を2→4→8→16→・・・と倍にしていき、負けた時点で掛け額を1に戻すという方法です。いわゆる「倍プッシュ」というやつです。
大連勝できないかぎりはひたすらジリ貧ですが、一度大連勝してしまえばとんでもなく大きな利益になるというところが最大のメリットです。
ただし、いつまでも倍プッシュし続けるとどこかですべてを失うので、やめ時の見極めも非常に重要な手法と言えるかと思います。
<ダランベール法(ピラミッド法)>
この手法は勝つごとに1→2→3→4→・・・と少しずつ掛け額を上げていく方法です。
さながら、緩い逆マーチンゲール法といったところです。
負けると同様に4→3→2→1と掛け額を少しずつ下げていくため、ピラミッド法などと呼ばれます。
この手法は連勝しやすい環境で徐々にロットを上げていけるため、期待値の高い投資手法では徐々に勝ちが大きくなっていくというメリットが有ります。
ただ、この手法は大連勝した後に大連敗するとダメージが非常に大きいという弱点があり、これも負け始めた(=流れがなくなってきた)際のやめ時が非常に重要な手法かなと思います。
<31システム>
これはちょっと変わっている手法なので、参考までに紹介します。
勝っても負けても、掛け額を「1→1→1→2→2→4→4→8→8」と増やしていき、2連勝した時点でロットを1に戻してやり直し、という資金管理手法です。
この手法のメリットとしては、2連勝した時点で必ず勝ちが確定するというところです。
考え方はマーチンゲール法とよく似ています。「勝率は低いが連勝はしやすい」というような状況で力を発揮しますが、そのようなケースがどのくらいあるのかは不明ですw
・・・ということで、いろいろな手法の概要を紹介したところで、これらの手法が実際にどのような特性を見せるかという点について比較してみたいと思います。
<連勝ケース>
まずは連勝ケースについて比較してみましょう。
各種法において連勝を続けた場合と、連勝中に負けた場合について記載しています。
どうでしょうか。
大連勝時に圧倒的なパフォーマンスを示しているのは逆マーチンゲール法で、バーネット・グッドマン・ダランベール法についても連勝を重ねるたびに勝ち額が大きく膨らんでいく様子がわかるかと思います。特に青色で塗っているあたり、5連勝以上になってくると、固定ベットと比較して大きく差が開いていることが分かるかと思います。
ただし、連勝中に負けたパターンについても注目が必要です。
連勝時に圧倒的なパフォーマンスを示す逆マーチンゲールですが、赤塗りで示している通り、負けた時点ですべてが台無しになってしまいます。どこかで引かないと確実に負けるので注意が必要です。
グッドマン・ダランベールは黄色塗りで示している通り、2連勝以上しないと勝ちに転じません。
勝ち負けが交互にやってくるような状況においては、固定ベットに対して劣後する事になってしまいます。
また、バーネット法もかなりクセモノです。
4連勝以上した場合のパフォーマンスはかなり高く、特に濃い青で塗っている「4連勝して負ける」というパターンのパフォーマンスが非常に高いのですが、赤塗りで示している通り、3連勝以下の場合にほとんど勝ちが積み上がりません。勝率1/2前後では単勝後に負ける確率はかなり高いと思いますが、そのケースでの損失が最も大きいというところも着目すべき点です。使い所が難しいという理由がよく分かるかなと思います。
<連敗ケース>
続いて、連敗ケースも見ていきましょう。
各種法において連敗を続けた場合と、連敗中に勝った場合について記載しています。
マーチンゲール法と31システム以外は差分ありません。
青塗りの箇所をみれば見れば分かる通り、マーチンゲール法ではいくら連敗していても、一度勝つだけで取り返せるというのが見えるかと思います。
しかしながら、赤塗した箇所の通り、負けるごとに負債が大きく膨れ上がっていきます。9連敗した時点でなんと当初の掛け額の511倍もの負債を抱えることになってしまいます。
単純に1/2の確率であれば0.195%という非常に低確率ではありますが、この状況が発生した時点で破綻するという非常に危険な手法であることが分かるかと思います。
31システムはマーチンゲールと比較すると比較的マシですが、連勝ができないと同様に負債が積み上がっていくリスクの高い手法となっているのが分かるかなと思います。
ということで、今回はギャンブルなどで用いられる資金管理手法について紹介し、連勝時・連敗時の観点で比較を行ってみました。各種法の特性がよく見えたかなと思います。
次回は、これらの特性をどのようにFXの資金管理に活かせるか!?という観点で検証を進めてみようかなと思います。
以上です。