これにより、非中央集権型の取引ネットワークを作ることにこの通貨の目的がある・・・という難しい前置きは置いておいて、このIOUを悪用した詐欺行為が今後出てくる可能性があります(すでに出てきている)ので、ダマされないようにしておきましょうというのが今回の記事です。
Ripple IOUとは?
IOUとは、その名の通り借用証書の意味合いを持ちます。
つまり、「私はこれだけのお金をあなたから借りましたよ!」という証拠としてリップルネットワーク内で発行されるのがIOUなのです。つまり、IOUを渡したら相応のお金が返ってくるという前提があるということを、まずは覚えておく必要があります。
独自通貨の発行とは?
Rippleの面白いところとして、「リップルネットワーク内で個人が独自の通貨を発行できる」というところにあります。
簡単に言うと、今私が、「しがない円(=SGY)を制定して発行していきます!」というようなことも簡単に出来てしまうのです。
これは、上記のIOUの仕組みを利用することにより実現しているのです。
以下の図を御覧ください。

これは、例えば私が「しがない円(=SGY)」を発行した時の通貨のやりとりを示したものです。
まずは発行者である私が、「1SGY=1円で売ります!」といって購入者を募ります。
これに「利用者1さん」という買い手が現れたとします(右上)。私は「利用者1さん」から(現実世界で)1,000円をもらう代わりに、1,000SGYというIOUを発行してリップルネットワークを使ってこれを渡します。
もちろん、「この1,000SGYを返してくれたら、1,000円返しますからね!」という保証もつけます。
IOUが借用証書と言われる所以はここにあって、「SGY」なんて独自通貨のような名前をつけていますが、結局、これって私が「利用者1さん」から1,000円を借りたという借用書に過ぎないわけです。
次に行きます。
「利用者1さん」は、ドルが欲しくなったので、この1,000SGYという1,000円分の借用書を「利用者2さん」にドル建てで売ったとします(左上)。
1,000SGYは1,000円の借用書なので、1,000円という価値が裏打ちされています。なので、「利用者2さん」は、これと同等の価値である$8で買う事になるわけです。こうすることで、借用書の権利が「利用者2さん」に移るわけですね。
で、「利用者2さん」が「このSGYもういらない!」という状況になったとします。
そこで、「利用者2さん」は「1,000SGY=1,000円で私に買い取ってもらう」という選択をします(下)。私は1,000SGYをリップルネットワーク上で受け取る代わりに、「利用者2さん」に(現実世界で)1,000円を振り込みます。
結果として、リップルネットワーク内においてSGYを介して、利用者1と利用者2の間の通貨の流れが出来上がりました。そして、最終的に借用書であるSGYはすべて私のもとに戻ってきましたね。
この例では「利用者2さん」が私にIOUを返還することで完結していますが、そうではなく「利用者3さん」「利用者4さん」とつなげていくことで、「利用者さん」の間でSGYの流れが出来上がることになります。
結果的には、「SGYという通貨を使うことで、仮想ネットワーク内で金銭のやりとりが出来るという仕組みが出来上がるのです。
IOUの価値を保証するのは発行者
ここでもっとも重要なのは、「IOUの価値を保証するのはその発行者である」ということです。発行者と利用者との信頼関係があって初めて取引が成立するわけです。
では、以下の図を見てみましょう。

「利用者2さん」までの通貨の動きは同じです。
先ほどとの違いは、私のその後の態度です。1,000SGY=1,000円で売った後、このように態度を急変させます。
「1,000SGY=10円で買い取りに変更します!」
こうなると困るのは「利用者2さん」です。1,000SGYが10円にしかならないとなると、もはや買い手がつきません。。。しぶしぶ私に1,000SGYを返し、10円を受け取るということになってしまうわけです。
IOUはいくらでも発行できる
この仕組みを利用し、私は大量のSGYを発行します。
そして、「このSGY、今後どんどん値が上がっていきますよ!」と宣伝して売りつけます。
こうやってたくさんのSGYを売りつけた後、私の意志でIOUの価格を下げます。
そして、表面上は「SGYの価格が急落してしまいました・・・」と言ってしまえばどうなるか?
そうです、私は大儲けなわけです。
でも何も知らない利用者に対して「相場に絶対はありませんから・・・」と申し訳そうに謝ると、ころっと騙されそうな気がしませんか?
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いかがでしょう。
こんな感じで、RippleのIOUの仕組みを悪用した詐欺が横行する可能性があります。
そんなうまい話はないので、気をつけるようにしましょう。。。以下の標語が合言葉です!
【リップル標語】
IOU 価値決めるのは 発行者
次の記事では、同じ仕組みでもっと看破しづらそうなケースを紹介したいと思います。
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