トラリピと似た手法に「無限ナンピン手法」という物がありますが、それぞれ以下の違いがあります。
-----
【トラリピ】各ポジションごとに利益確定幅を定め、それぞれ個別に決済していく。
【無限ナンピン】全トラップをまとめて管理することで平均購入価格を下げ、その平均価格から一定量の値幅が取れたら全ポジションを一斉に決済する。
-----
で、これらの違いですが、ともに下落相場に弱いというとことは共通ですが、その値動きによって異なる特性が出てくると考えられます。
例えば、「1円下がるごとにポジションを持ち、1円幅が取れたら決済」というポリシーで進めるとします。
100円→96円→99円の流れで値動きが出た場合・・・1万通貨で考えると、
【トラリピ】
@100円で約定 → A99円で約定 → B98円で約定 → C97円で約定 → D96円で約定 → D97円で決済(1万円の利益) → E98円で決済(1万円の利益) → F99円で決済(1万円の利益)
※結果 決済利益:3万円、含み損:1万円(@のポジション残り)
【無限ナンピン】
@100円で約定(平均約定価格100円) → A99円で約定(平均約定価格99.5円) → B98円で約定(平均約定価格99円) → C97円で約定(平均約定価格98.5円) → D96円で約定(平均約定価格98円) → E99円で全決済(5万円の利益)
※結果 決済利益:5万円、含み損:0円
ということで、値を戻しつつ下がっていった場合は高値のポジションを払えるというメリットが無限ナンピンにはあります。
ただし、お分かりかとは思いますが、一方的な下落相場ではいつまでも決済ができないというデメリットが有ります。
では、実際に過去のチャートから比較してみましょう。
検証に使用するのは、2007年10月〜2008年12月31日(検証期間@)と2009年1月〜2013年4月(検証期間A)の豪ドル円の2パターンです。
見て分かる通り、リーマンショックの被害をモロに受けてしまう期間と、レンジ相場を経てアベノミクスの恩恵を一身に受けた最高の期間の比較となります。

この期間で55円〜100円のトラップ(1,000通貨)を1円幅で張り、それぞれのポリシーで1円幅が取れたら決済というシミュレーションを行います。
その結果がこちら。

ということで、上げ相場・下げ相場のどちらの場面においても、小刻みに利益を取っていくトラリピの方が最終的な獲得利益も大きく、ドローダウンも少なくなるということがわかるかと思います。
これは一検証にすぎないのですべてのケースにトラリピに分があるとは言えませんが、リスクをヘッジするのであれば無限ナンピン手法よりはトラリピのほうが良いのかもしれませんね。
双方を効率的に運用するのであれば、高値圏・安値圏で無限ナンピン、レンジ圏はトラリピにすることで、トラリピのメリットを享受しつつレンジ中盤位置でも高値のポジションを払えるようにする、というような戦略もいいかもしれませんね。
以上です。